この頁のお題である子宮筋腫ですが、婦人科の病気の中でも、とても
多い病気です。30代後半から徐々に筋腫と診断される方が増え始めていき
45歳から50歳が最も多い年代となり、50歳以上になると減少します。
が、最近では若い人にも子宮筋腫を持つ方が増えてきています。その理由
に、女性のライフスタイルの変化があると言われていますが、具体的な
発生原因は残念ながら解明されていません。卵胞ホルモン(エストロゲン)
の影響や遺伝的要素が関与していると考えられています。
ここでは、そんな子宮筋腫のことをお話します。
子宮は外側を覆う薄い漿膜(子宮外膜)、平滑筋でできた子宮筋層、内側を
覆う子宮内膜から成り立っています。子宮筋腫とは子宮筋層にある平滑筋
が変化して出来る良性の腫瘍のことを指しています。
が、その筋腫の出来る場所は様々で、その違いによって名前が変わって
きます。
筋膜内筋腫(壁内筋腫)
子宮筋層内にできて、子宮筋層の中で大きくなる筋腫のことを筋膜
内筋腫といいます。全体の約7割を占めており、子宮筋腫の大半が
筋膜内筋腫と言われています。症状は初期には殆ど現れませんが、
大きくなるにつれ、過多月経や過長月経、レバー状・寒天状の月
経血、月経痛といった症状が徐々に出現してくるようになります。
子宮内腔を圧迫するため、妊娠にも影響が出る場合もあります。
筋腫の部位によっては不妊の原因となったり、妊娠することで
ホルモンの分泌量が変わり筋腫が急激に成長して流産や早産の原
因となることもあるようです。
漿膜下筋腫
子宮外膜の方向に向かって成長し、子宮筋層部から外に向かって
盛り上がるようなコブの形をしている筋腫と、細い茎でつながり
ながら子宮の外側で発達する筋腫(有茎漿膜下筋腫)に分かれます。
筋腫全体の2割を占めています。
有茎漿膜下筋腫は一見すると子宮にキノコが生えたような形です。
外側に出来るため、子宮内腔を圧迫することが少なく月経の症状
や妊娠と関連するような特徴的な症状が出ないこともあります。
自覚症状が少ないため、他の筋腫と比べると大きくなるまで気付か
ないことも多いです。ですが、他の臓器を圧迫して症状がでること
もあります。膀胱や尿道が圧迫されると頻尿・尿閉といった
症状が、腸が圧迫されると便秘に、子宮の後ろ側を圧迫されると腰椎から
出ている神経が圧迫されて腰痛となることもあります。
粘膜下筋腫
子宮の内腔に向かって成長していく筋腫です。漿膜下筋腫と同様に
コブのような形の筋腫と茎の先で成長していく有茎粘膜下筋腫とが
あります。子宮筋腫全体の1割と少ないですが、大きさに比較して
症状が強いのが特徴で、手術を勧められることも多いようです。
子宮内膜の面積が大きくなることで、月経時に剥がれ落ちる内膜も
多くなり月経時に出る血液の量が多くなり、不正出血を引き
起こしやすくなります。それに伴い貧血となる場合もあるよう
です。さらに、受精卵が着床する内膜の方に病変があるため、不妊
の原因となる場合があります。
粘膜下筋腫のうち、有茎粘膜下筋腫では、茎が下の方に伸びて子宮
口から飛び出てしまうことがあり、筋腫分娩と
言われます。人の身
体は異物を外に出そうと性質があるため、月経のたびに子宮内の筋
腫を外に出そうと子宮が収縮し、陣痛のような痛みが出現します。
さらに、層による分類ではなく子宮の部位による分類もあります。子宮
の上2/3を占める子宮体部に出来る筋腫を体部筋腫、下1/3を占める
子宮頸部にできるものを頸部筋腫といいます。そのうち、9割以上が
体部筋腫と言われ、子宮筋腫の殆どを占めています。